プラスチックの生産や消費量は今後も増加の一途をたどる見通しだ。
経済協力開発機構(OECD)が今年10月に発表した報告書によれば、プラスチックの生産および使用量は2020年の約4億3500万トンから、2040年には約7億3600万トンへと、7割もの増加が予測されている。
しかしOECDによれば、2040年時点でもリサイクルされるプラスチックはわずか6%にとどまり、多くがごみとして焼却されたり、埋め立てられたりする。不適切な処理も多い結果、環境中に漏れ出すプラスチックの量は2020年比で約50%も増加するという。
すでにプラスチックによる環境汚染は陸上から河川や海洋にまで広がっている。最新の研究では、サンゴの骨格にまで微細なプラスチックが取り込まれている実態が明らかになった。

塑料的生产和消费量预计将继续增长。根据经济合作与发展组织(OECD)今年10月发布的报告,塑料的生产和使用量预计将从2020年的约4.35亿吨增加到2040年的约7.36亿吨,增幅达七成。然而,OECD指出,到2040年,回收的塑料仅占6%,大部分塑料将作为垃圾被焚烧或填埋。不当处理也很普遍,导致泄漏到环境中的塑料量将比2020年增加约50%。
塑料造成的环境污染已经从陆地扩散到河流和海洋。最新研究显示,微细塑料甚至已经被珊瑚的骨骼吸收。

サンゴの骨格からマイクロプラスチック検出
今年9月、九州大学の磯辺篤彦教授らの研究グループは、東南アジア・タイ南部での2年にわたる研究の結果、世界で初めて造礁サンゴの骨格から微細なマイクロプラスチック片の検出に成功したと発表した。
マイクロプラスチックとは、ペットボトルやビニール袋などのプラスチックが川や海などに流れ、紫外線の作用などで粉々になったものをいう。そのうち、直径5ミリメートル以下に微細化したものをマイクロプラスチックと定義されている。
磯辺教授によれば、「海に流れ出したプラスチックの約7割が行方不明となっているが、今回、世界で初めてサンゴの骨格にまでプラスチック片が入り込んでいることがわかった」という。

今年9月,九州大学的磯辺篤彦教授及其研究团队宣布,他们在泰国南部进行的为期两年的研究中,首次在造礁珊瑚的骨骼中成功检测出微小的微塑料颗粒。微塑料是指塑料瓶、塑料袋等塑料制品流入河流或海洋后,在紫外线的作用下分解成的细小颗粒。其中,直径小于5毫米的被定义为微塑料。磯辺教授指出,“流入海洋的塑料约有七成下落不明,而此次研究首次发现塑料颗粒已渗入珊瑚骨骼中。”

磯辺教授らの調査では、タイ南部の海域で採取した4種類の造礁サンゴの体内から174粒のマイクロプラスチックが見つかった。表面粘液、組織、骨格全体にそれぞれ38%、25%、37%の割合で分布していた。プラスチックの種類もポリプロピレン、ポリアセチレン、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)などさまざまだった。
「骨格に侵入したマイクロプラスチックはサンゴの死後も残り続けるため、数百年から1000年といった長期にわたって蓄積する可能性がある」と、磯辺教授は指摘する。

根据磯辺教授的调查,在泰国南部海域采集的四种造礁珊瑚体内发现了174颗微塑料颗粒。微塑料在珊瑚的表面粘液、组织和骨骼中分别占比38%、25%和37%。这些塑料的种类多样,包括聚丙烯、聚乙烯、尼龙和PET(聚对苯二甲酸乙二醇酯)等。
磯辺教授指出:“侵入骨骼的微塑料在珊瑚死亡后仍会残留,因此可能在几百年甚至上千年内持续积累。”

海鳥の半数からプラスチック添加剤検出
マイクロプラスチックや、さらに小さくなったナノプラスチックには健康リスクのある化学物質が含まれていたり、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質が付着していたりすることもある。わが国の汚染物質研究の第一人者である東京農工大学の高田秀重教授は「プラスチックは有害化学物質の運び屋の役目も果たしている」と説明する。
高田教授の研究室では、世界各地の研究者の協力を得て、世界各地に生息する海鳥の尾羽の付け根から分泌される脂のサンプルを収集。それらの成分を分析して、海鳥の体内に含まれる化学物質の濃度の測定を続けている。その結果、わかってきたこととして、「世界の海鳥の約半数からプラスチック添加剤が検出されている」(高田教授)。
高田教授は「世界規模でプラスチックによる汚染が広がっている」と警鐘を鳴らしている。そして、プラスチック汚染をできる限り少なくするためには、「プラスチックそのものに網を掛けて、全体の生産量や使用量を減らしていく必要がある」と指摘する。そうすれば、人体に懸念のある化学物質への曝露を抑えることができるからだ。

海鸟半数检测出塑料添加剂
微塑料和更小的纳米塑料中含有对健康有风险的化学物质,有时还附着有PCB(多氯联苯)等有害物质。日本污染物研究的权威专家、东京农工大学的高田秀重教授解释说:“塑料也充当着有害化学物质的载体。”
在高田教授的研究室中,研究人员在全球各地研究者的协助下,收集了世界各地海鸟尾羽根部分泌的脂肪样本。通过对这些成分的分析,持续测定海鸟体内含有的化学物质浓度。结果显示,“全球约半数海鸟体内检测出了塑料添加剂”(高田教授)。
高田教授警示道:“塑料污染正在全球范围内扩散。”为了尽可能减少塑料污染,他指出,需要“限制塑料本身,减少整体生产和使用量”。这样可以降低人体暴露于具有潜在危害的化学物质的风险。

高田教授が主張する、生産量の総量規制は、今回のプラスチック条約交渉の最大の焦点になっている。
石油などを原料とするプラスチックは、生産の過程で温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を大量に排出する。そのため、気候変動問題の観点からもプラスチック問題は重要だが、条約交渉では産油国を中心にプラスチックの生産量削減自体に強く反対する声がある。
他方、ヨーロッパ連合(EU)やアフリカ、南太平洋などの島嶼国は、条約で生産量の削減目標を定めるべきといった立場を取る。バイデン政権のアメリカも最近になって、EUなどと近い主張をするようになっている。日本は中間的な立場を取ってきた。
生産規制とともに重要なテーマの一つが、特定の化学物質・製品の規制のあり方だ。これまで環境中で残留性や生物蓄積性、生物や人体への有害性などが懸念される化学物質については、「ストックホルム条約」により規制されてきた。現在、国内で輸入、製造、使用されている数万種類にのぼるとも言われる化学物質のうちで、条約で規制対象となっている化学物質の数は数十種類にとどまる。
そこで今回の条約交渉では国際的な統一基準を設けたうえで、有害な化学物質や、不要な使い捨てプラスチックをリスト化し、国際的に禁止すべきだという主張がなされている。ここでも、規制に反対の立場の産油国と、EU、アフリカ諸国などとの間で意見の隔たりが大きい。
もう一つの焦点が、プラスチック汚染対策の資金をどの国が多く負担するかという問題だ。新興国や開発途上国は先進国に多くの負担を求める一方、日本を含む先進国はそうした考えに距離を置いている。また、途上国は、資金面での政府の役割を重視する一方、先進国側は既存の支援制度の枠組みの活用や、民間を含めた多様なセクターが関与する必要性を強調している。

高田教授提出的关于生产总量限制的主张,成为此次塑料条约谈判的最大焦点。以石油等为原料的塑料在生产过程中会大量排放温室气体二氧化碳(CO2),因此从气候变化问题的角度来看,塑料问题至关重要。然而,在条约谈判中,以产油国为中心,对塑料生产量削减本身持强烈反对意见。
另一方面,欧盟(EU)、非洲和南太平洋等岛屿国家主张条约应设定生产量削减目标。拜登政府领导下的美国最近也开始提出与欧盟等类似的主张。日本则采取了中间立场。
与生产限制同样重要的主题之一是特定化学物质和产品的管理方式。迄今为止,对于在环境中具有残留性、生物蓄积性以及对生物和人体有害性的化学物质,已经通过《斯德哥尔摩公约》进行管制。目前,在国内进口、制造、使用的数万种化学物质中,列入条约管制对象的仅有几十种。
因此,此次条约谈判中,有主张提出应设立国际统一标准,列出有害化学物质及不必要的一次性塑料,并在国际上禁止。这方面,反对管制的产油国与欧盟、非洲国家等之间也存在较大意见分歧。
另一个焦点是塑料污染治理资金由哪些国家承担更多的问题。新兴国家和发展中国家要求发达国家承担更多费用,而包括日本在内的发达国家对这种想法保持距离。此外,发展中国家重视政府在资金方面的作用,而发达国家则强调利用现有的支持制度框架,并需多样化部门,包括民间部门的参与。

プラ条約交渉は、国際協調の正念場でもある
気候変動やプラスチック汚染問題などの国際交渉に、国際環境NGOの一員として関与してきたグリーンピース・ジャパンの小池宏隆シニア政策渉外担当は、今回のプラスチック汚染条約の交渉について、「多国間協調を機能させるうえでもきわめて重要だ」と説明する。
日本の責任も重い。日本の容器包装プラスチックごみの1人当たり排出量はアメリカに次ぐ世界第2位であり、廃プラスチックの輸出(2023年)でもドイツやイギリスに次ぐ世界第3位となっている。日本はリサイクルを中軸としたサーキュラーエコノミー(循環経済)を標榜しているが、実際は大量生産・大量廃棄から脱却できていない。
きちんとした条約で合意するためにも、日本にはリーダーシップを発揮する責務がある。
著者フォローすると、岡田 広行さんの最新記事をメールでお知らせします。

塑料条约谈判是国际合作的关键时刻
作为国际环境非政府组织的一员,绿色和平日本的高级政策公关负责人小池宏隆参与了气候变化和塑料污染等国际谈判。他解释称,这次塑料污染条约的谈判对于多边合作的顺利运作至关重要。
日本也负有重大责任。日本的人均包装塑料垃圾排放量位居世界第二,仅次于美国,而在废塑料出口方面(2023年),日本位居世界第三,仅次于德国和英国。虽然日本标榜以回收为核心的循环经济,但实际上仍未摆脱大量生产和大量废弃的模式。
为了在条约中达成稳妥的共识,日本有责任展现领导力。