英誌も驚愕、日本特有のホストクラブという「搾取のカルト」──日本人は親密な関係を“商品”としてしか得られないのか?

英国杂志都惊愕,日本特有的牛郎俱乐部这种“剥削邪教”——日本人只能通过“商品”来获得亲密关系吗?

若い女性客に高額な売掛金(ツケ)を不当に背負わせる悪質商法が問題視されているホストクラブ。日本特有のこの現象はなぜ起こってしまうのか、英誌「エコノミスト」が考察した。

现在日本出现了一个问题:牛郎俱乐部通过不正手段,让年轻女性顾客背负高额的账款。英国杂志《经济学家》对为什么日本会出现这种特有的现象进行了考察。

日本特有のホストクラブ
東京の歓楽街、歌舞伎町で女性記者を取り囲むのは、4人の若い男たちだ。柊咲恋(25)は髪をブリーチして明るくし、黒のタンクトップ、シルバーのネックレスを身につけている。彼はシャンデリアの下でピンクのアイシャドウをきらめかせながら、温かくおしゃべりし、魅惑的な視線を送る。
彼の3人のアシスタントは、記者の焼酎グラスにお酒を注ぎ続け、彼女の容姿を褒めつづけている。彼女はそれらの言葉が本心からではないと理解しながらも、不思議と喜んでいる。1時間半後に受け取った会計は、3万円だった。

日本特有的牛郎俱乐部
在东京的娱乐街歌舞伎町,围住女记者的是4个年轻男人。柊咲恋(25)的头发漂染得很亮,身穿黑色背心,佩戴银色项链。他在枝形吊灯下,粉色眼影闪闪发光,热情地聊天,眼神迷人。
他的3名助手不断向记者的烧酒杯中倒酒,并不断称赞她的外貌。虽然她知道这些话并非出自真心,但还是不可思议地感到高兴。一个半小时后收到的账单是3万日元。

日本ではホストクラブがブームになっている。K-POPスターのようなメイクアップをし、着飾った約2万1000人の若い男性が、ホストとして900軒の店舗で働いているのだ。彼らは女性客を甘やかし、お世辞を言う。店舗でセックスが職務として行われることはないが、どこか別の場所でならありうるかもしれない。
客が求めるのは、肉体的なものよりも、たいていは心理的な繋がり、現実からの逃避だ。ホストは彼女たちを「姫」と呼び、年齢や職業を尋ねることはない。

日本正在兴起牛郎俱乐部。有2万1000多名年轻男性打扮成K-POP明星作为牛郎在900家店铺工作。他们会娇惯女客人,说奉承话。工作上并不提供性服务,但在工作之外或许会发生。
客人追求的不是肉体上的东西,而是心理上的联系,逃避现实。牛郎称呼她们为“公主”,从不询问年龄和职业。

ホストという「カルト」を理解するため、まず2つの統計を見てみよう。2020年の国勢調査では、20代後半の日本人女性の未婚率は60%以上と、1980年代半ばの2倍となっている。最近の調査では、20~49歳の未婚男女の3分の1以上が交際経験なしということが明らかになった。独身女性がホストクラブを訪れるのは、主に寂しいからだ。彼女たちは「日常生活では出会えないような男性」との出会いにスリルを感じているのだ、と柊は語る。

为了理解牛郎这一“邪教”,我们先来看两项统计。在2020年的人口普查中,25岁后半的日本女性的未婚率达到60%以上,是1980年代中期的2倍。据最近的调查显示,20 ~ 49岁的未婚男女中有三分之一以上没有交往经验。单身女性光顾牛郎俱乐部主要是因为寂寞。柊先生说:“因为在这里她们能遇到日常生活中无法遇到的男性,并且感到心动”。

日本で初めてのホストクラブがオープンしたのは1960年代半ばだ。主に裕福な婦人や、夫に先立たれた女性のためのダンスホールだった。現存する最古のホストクラブ「愛本店」の経営者で、歌舞伎町ホスト協会会長の北条雄一によると、初期のホストたちは自分たちのことを「男芸者」と呼んでいた。ホストクラブは当初、はみ出し者によるいかがわしい商売と見られていたが、次第に偏見は薄れていった。
大成功したホストはいまやセレブリティだ。彼らは2000年代にはテレビ番組に出演するようになった。現在、多くの人気ホストにはソーシャルメディア上で数多くのフォロワーがいる。看板や広告トラックには高収入の人気ホストの写真が使われ、ホストは漫画やアニメのキャラクターとしても登場する。

日本第一家牛郎俱乐部开业是在20世纪60年代中期。主要是为富裕的妇女和丈夫去世的女性开设的舞厅。现存最古老的牛郎俱乐部“爱总店”的经营者、歌舞伎町牛郎协会会长北条雄一说,早期的牛郎们称自己为“男艺伎”。牛郎俱乐部最初被认为是不法分子的不正当买卖,但后来偏见逐渐淡化。
大获成功的男公关现在已经是名人了。他们在2000年代开始出演电视节目。现在,很多人气男公关在社交媒体上都有很多粉丝。招牌和广告也会用高收入的人气牛郎的照片,牛郎还作为漫画和动画的角色登场。

豪マッコーリー大学上級講師の文化人類学者、トーマス・ボーディネットは、彼らは「日本のポップカルチャーの典型的なモデル」となっていると指摘する。
柊は有名なホストになることを夢見て地方から上京した。「華やかな世界の一員になりたかったのです」と彼は話す。

澳大利亚麦考瑞大学高级讲师、文化人类学家托马斯·波迪内特指出,他们是“日本流行文化的典型典范”。
柊先生从外地来到东京,梦想成为有名的牛郎。他说:“我想成为华丽世界的一员。”

客を「食い物」にする構造
華やかだが、物議を醸す世界である。フェミニスト団体は、ホストクラブによる搾取を非難する。飲み物は法外に高額で、客を騙して多額の「売掛金」(ツケ)を負わせるのだ。ホストに対して最もお金を使う客は「エース」と呼ばれ、賞賛される。一度の来店で数百万円を請求され、借金を背負わされる女性客もいる。
客の一人であるイチカは、ホストクラブでのある体験について語る。シャンパンの注文を断ると、お気に入りのホストが彼女を無視し、携帯電話をいじり始めたのだ。「私は彼に嫌われたくなかったので、もっとお金を使いました。彼の気を引きたかったんです」

把客人当作“食物”的结构
这是一个华丽却也引发争议的世界。女权主义者团体谴责牛郎俱乐部的剥削行为。饮料价格高得离谱,欺骗顾客让其背负高额的“应收账款”。在牛郎面前花钱最多的客人被称为“王牌”,会受到称赞。也有女性顾客来店一次就被索要数百万日元,背负债务。
客人之一的一佳说起了牛郎俱乐部的一段经历。在她拒绝了香槟的要求后,她喜欢的男公关不理她,摆弄起了手机。“我不想被他讨厌,所以花了更多的钱。我想引起他的注意。”

ホストに会い続けるために、とんでもない行動に出る女性もいる。警視庁によると、2023年に新宿・大久保公園周辺で売春目当てで目的に客待ちをして逮捕された女性のうち、40%以上がその目的をホストクラブに通うためと答えた。
これに対し、政治家は同業界の規制を検討し、不透明な価格設定の取り締まりについて議論している。ホストクラブの経営者たちはそれに先立ち、自主規制を強化している。

也有为了继续见到牛郎而做出荒唐举动的女性。据警视厅称,2023年在新宿大久保公园周边以卖淫为目的等待客人而被捕的女性中,40%以上回答其目的是去牛郎俱乐部。
对此,政治家们正在讨论对该行业的限制,并讨论取缔不透明的价格设定。牛郎俱乐部的经营者们在此之前正在加强自我约束。

裏にあるのは「推し活」か?
ホストという「カルト」と、日本の熱狂的なファン文化の関連性を指摘する声もある。2023年のある調査では、日本の20代女性の72%が「推し活」(特定の有名人やキャラクターなどを熱心に応援すること)をしていると答えた。その対象はアイドルであることが多かったが、より身近に接することのできるホストに忠誠を誓う人もいる。
ホストクラブに通う前出のイチカは、以前は男性アイドルにたくさんお金をかけていた。しかし、コロナ禍でコンサートがなくなったことで、代わりにホストにお金をかけるようになったという。

背后是“推活”(热心支持特定名人或角色等)吗?
也有人指出牛郎这一“邪教”与日本狂热的粉丝文化之间的关联性。在2023年的一项调查中,72%的日本20多岁女性回答自己有“推活”。其对象多为偶像,但也有的推的是能够近距离接触的男公关。
去牛郎俱乐部之前的一佳女士,以前在男偶像身上花了很多钱。但是,由于疫情的原因没有音乐会,所以她开始在牛郎身上花钱。

他にも、たとえば「添い寝カフェ」など、日本には親密さを提供するサービスがあるが、たいていは男性向けだ。「日本人の多くは商品化された形を通してしか、親密な関係を持てないのです」とボーディネットは憂慮している。
大学生のクルミは、週に一度ホストクラブに通うために風俗店で働いている。彼氏がいたこともあったが、ホストの方が刺激的なのだそうだ。彼女は卒業後に会社員になるか、給料のいい風俗を続けるか迷っている。
「ホストクラブにハマると、友達づきあいがなくなってしまう人が多いですね。ホストはもう私の生活の一部なんです……。普通の仕事に就いたら、たぶんもう会えなくなる。それが怖いんです」と彼女は語る。

此外,日本还有“陪睡咖啡”等提供亲密感的服务,但大多面向男性。麦考瑞大学的高级讲师担忧地说:“大多数日本人只能通过商品化的形式来建立亲密的关系。”
大学生胡桃为了每周去一次牛郎俱乐部,在娱乐场所工作。她也有过男朋友,但她觉得牛郎更刺激。她在犹豫毕业后是当公司职员,还是继续做工资高的风俗业。
她说:“很多人一旦迷上牛郎俱乐部,就没有朋友了。牛郎已经是我生活的一部分了……如果从事普通的工作,大概就再也见不到面了。这很可怕。”