人類はまだ知らない!「食う・食われる」だけじゃない、本当の“地球のルール”

人类还不知道!真正的“地球规则”不仅仅是“吃与被吃”


よく耳にする「生物多様性」という言葉。でも私たちは、それが本当はどういうことなのか、まだ知らないのではないか。生き物たちは、厳しい生存競争を繰り広げる一方で、種を超えて複雑につながり合い、助け合って生きている。“人間は最も進化した生き物だ”という思いこみをやめて、生命の星・地球を支える「生物多様性の本当の姿」を見つめたい。
そんなテーマを掲げて制作された、NHKスペシャルの大型シリーズ「超・進化論」。番組では、これまで見ることができなかった生き物たちの驚くべき世界を、映像化することに挑んでいる。植物がまるでおしゃべりするかのようにコミュニケーションをしている様子や、幼虫からまるで違う成虫の姿へと大変身するサナギの中の透視映像は、世界で初めて撮影されたものだ。記事前編では、植物の“おしゃべり”を中心にお伝えしてきたが、本稿では、「食う・食われる」だけではない、植物の「支え合いの世界」についてご紹介する。(NHKスペシャル「超・進化論」ディレクター 白川裕之)※本稿は11月6日放送「NHKスペシャル 超・進化論」取材班が制作した記事を紹介しています。

经常听到的“生物多样性”这个词。但是我们不是还不知道那到底是怎么回事吗?生物们在展开激烈的生存竞争的同时,也超越了物种,相互联系,互相帮助。我想放弃“人类是最进化的生物”的想法,寻找支撑生命之星·地球的“生物多样性的真正姿态”。
NHK以此为主题,制作了一期特别的大型系列「超·进化论」。在节目中,挑战着将至今为止看不到的生物们惊人的世界影像化。植物像聊天一样交流的样子,以及从幼虫变成完全不同成虫的蛹中的透视影像,这是世界上第一次拍摄的。在报道前篇中,以植物的“聊天”为中心进行了介绍,本文不仅介绍了“吃、被吃”,还介绍了植物的“相互支持的世界”。(NHK特别节目《超·进化论》导演白川裕之)※本稿介绍了11月6日播出的“NHK特别篇超·进化论”,是对制作组的采访报道。


生き物が感じている“もうひとつの世界”とは?
NHKスペシャル・シリーズ「超・進化論」の企画の出発点の一つは、「生き物たちの営みの大半は、私たち人間には見えていない」ということ。
そしてもう一つが、「生き物たちは、人間とは違うやり方で世界をとらえている」ということだ。人間の目線から脱却して、生き物たちの目線、生き物たちが感じている“もうひとつの世界”に近づきたいというアプローチだ。
しかし、生き物たちは、一体どのように世界をとらえて生きているのか。

生物所感受到的“另一个世界”是?
NHK特别系列“超·进化论”企划的出发点之一是“生物们的大部分活动,我们人类是看不到的”。
还有一点就是“生物们用与人类不同的方式捕捉世界”。这个出发点是想摆脱人类的视线,使用生物们的视角、来感受生物们感受到的“另一个世界”的方法。
那么,生物们到底是如何捕捉世界生存的呢。

企画を立ち上げてしばらくたってから、一つの興味深い研究が一流科学誌サイエンスに発表された。論文の筆頭著者は、埼玉大学の豊田正嗣さんだ。植物の葉が虫に食べられたときに、どのような反応が起こるのかを映像化することに見事に成功していた。
研究室を訪ねると、豊田さんはこちらの企画をいたく気に入ってくれた。植物がどう感じているかというアプローチは、私たちの狙いとぴたりと重なっていたものだから、豊田さんと私はすっかり意気投合。お会いしたその日に、人の手で触れたときや雨粒が降ったときなどに植物が示す反応をいかに可視化していくかについて議論した。
ほかにも、植物の「感覚」とも言うべき、周りの環境を感知する能力の研究が進んでいることが分かってきた。アメリカ・トレド大学のハイディ・アペルさんのグループは、「植物が、音(=振動)に反応する」という新しい知見を発表していた。アペルさんが明らかにしたのは、虫が葉をかじる音に対して、植物が防御の反応を起こしているという事実だ。アペルさんに話を聞くと、彼女はこう語った。

计划启动后不久,一项有趣的研究发表在一流科学杂志科学上。论文的第一作者是埼玉大学的丰田正嗣。他成功地将植物的叶子被虫子吃掉时会产生怎样的反应影像化。
我们访问了他的研究室,丰田非常喜欢这个企划。植物是怎么感觉的,这是和我们的目标完全重叠在一起的,所以丰田和我完全意气相投。见面的那天,我们还讨论了如何把人的手触摸的时候和雨滴下了的时候等植物反应可视化。
另外,也可以说是在研究植物的“感觉”,对周围环境的感知能力等。美国托莱多大学的海迪·阿佩尔的小组发表了“植物对声音(=振动)有反应”的新见解。阿佩尔透露的事实是,植物对虫子啃叶子的声音有防御反应。我问阿佩尔,她是这样说的:

「植物には、間違いなく“音”を感知して反応する能力があります。その一つが、身の危険を知る上で重要な、葉をかじる“音”なのです。植物には目もなければ耳もない。人間が持つような感覚器官を持っているわけではないため、私たちは彼らの能力を過小評価してしまうのです」
目も耳もなく、動くこともない彼らは、「ただ黙って立っているだけの、鈍感な存在」にも思える。しかし、最先端の研究者たちからすると、むしろ逆で、植物は動けないがゆえに、周囲のあらゆる環境の変化を、時に動物以上に敏感に感じ取って対応している可能性があるというのだ。
わずかずつ見えてきた、人間とは異なる「植物たちが生きる世界」。実は、さらにもっとすごい別世界が、“意外なところ”に広がっていた。次章で見ていこう。

“植物确实有感知“声音”并做出反应的能力。其中之一,是了解对自身有危险的重要声音:啃叶子的“声音”。植物既没有眼睛也没有耳朵。因为没有人类拥有的感觉器官,所以我们低估了他们的能力。”
他们既没有眼睛也没有耳朵,一动也不动,一直被认为是“只是默默地站着,迟钝的存在”。但是,在最尖端的研究者看来,反而相反,因为植物不能动,所以有时会比动物更敏感地感受到周围所有环境的变化来应对。
一点点地看到了与人类不同的“植物们生存的世界”。实际上,那是更加厉害的另一个世界,让我们接着往下看

究極の別世界 それは地下に広がっていた!
私は、海外の複数のグループが、森の地下に注目して驚きの研究成果を報告していることに目を留めた。まさに私たちがこの目で見ているだけでは、まったく気づくことのできない、思いも寄らない別世界だった。
それは、森の地下には、木と木をつなぐ巨大な菌のネットワークが存在しているという事実だ。この目に見えない地下でのつながりは、遺伝子解析技術によって明らかになってきた。数十メートル離れた植物どうしが、同じ菌糸(細い糸状の菌)のネットワークでつながっていることが、遺伝子の解析から分かるのだ。
それだけではない。植物が光合成で得た養分が、その菌糸のネットワークを介して、他の植物へと送られているという研究結果が発表されていたのだ。この「見えないつながり」は、葉に特殊な二酸化炭素を吸わせて、それをマーカーとして追跡して調べる技術によって判明した。

究极的新天地,在地下扩展开!
我注意到,海外的多个小组,对于森林的地下有令人吃惊的研究成果。正是我们亲眼所见,却完全无法察觉,无法想象的另一个世界。
那就是,在森林的地下,存在着连接树木和树之间木的巨大细菌网络的事实。这种肉眼看不见的地下联系,通过基因分析技术变得明显。从基因的分析可以看出,数十米远的植物之间通过相同的菌丝(细丝状的菌)网络相连。
不仅如此。研究结果表明,植物通过光合作用获得的养分,通过其菌丝网络,被送往其他植物。这种“看不见的联系”是通过让叶子吸入特殊的二氧化碳,将其作为标志物进行追踪调查的技术而判明的。

そんな世界中を驚かせる研究結果を発表した一人、イスラエル・ワイツマン科学研究所のタミル・クラインさんは、結果を得たときの興奮を私たちにこう語ってくれた。
「最初に結果を見たときは、何かの間違いではないかと心底驚きました」
どうやら、植物たちは、お互いに同じ菌糸のネットワークにつながることで、生きるのに欠かせない養分などを時にシェアしていることが分かったのだ。例えば暗い森の中で生きることさえままならない小さな幼木は、大きな大木の地下で育まれた菌糸のネットワークにつながり、そのネットワークを通して栄養を得ることで、生き残れる可能性があるのだ。
あれ? 植物は、隣の植物と、栄養を取り合っていたのではなかったのか? 生存競争をしているのではなかったのか?

以色列魏茨曼科学研究所的泰米尔·克莱因发表了让全世界都震惊的研究结果,他对我们说了获得结果时的兴奋。
“当我第一次看到结果的时候,我从心底感到惊讶,这是不是出了什么差错。”
结果表示,植物们通过互相连接相同的菌丝网络,有时会分享生存不可缺少的养分等。例如,在黑暗的森林中无法生存的小幼树,与在大树地下培育的菌丝网络相连,通过网络获得营养,就有可能生存下来。
咦?植物不是和旁边的植物一起摄取营养的吗?这难道不是在进行生存竞争吗?


競争か、助け合いか
番組の取材を通して少しずつ見えてきた、生き物たちの見えざる世界。そこから浮かび上がってくるのは、生き物同士の「想像を超えたつながり」である。
植物だけでなく、昆虫や微生物など多くの生き物たちは、化学物質を使ったコミュニケーションによって、互いに情報をやりとりしている。彼らの情報を媒介するのは、人間が用いるような音声言語ではなく、「メッセージを伝える物質」である。
生き物の世界で、私たちのように音声言語を使ったコミュニケーションは、むしろ少数派。この地球上には、人間の耳には聞こえない膨大なコミュニケーションが、存在しているのだ。

是竞争还是互助?
通过节目的采访一点一点地看到了生物们看不见的世界。从那里浮现出来的是生物之间的“超越想象的联系”。
不仅仅是植物,昆虫和微生物等很多生物通过使用化学物质的交流,互相交换信息。传播他们信息的不是人类使用的语音语言,而是“传递信息的物质”。
在生物的世界里,像我们这样使用语音语言的交流反而是少数派。在这个地球上,存在着人类无法听到的庞大的交流。

コミュニケーションに限らず、生きるために欠かせないさまざまな物質が、生き物同士の間でさかんにやりとりされている。生き物たちは、個を超えて、種を超えて、周囲の他の生き物と、見えないネットワークで複雑につながって生きている。
命は、個で存在しているのではない。多くの生き物は、自分以外の周囲の生き物たちによって支えられている。
ダーウィン以来の生物学の常識、「進化論」を考える。それは厳しい生存競争の中で、有利なものが生き残り、子孫を残すという、“進化のルール”だった。最新の研究から明らかになってきたのは、そのルールの奥に隠された、驚くほど深遠なしくみだ。
詰まるところ、この世は競争。結局、弱い者は生き残れない。そう思われがちだが、実際にはそれほど単純ではない(そもそもダーウィンが考えていた「生存競争」は、もっと広い意味をもつものであり、単なる「弱肉強食」の意味ではない)。

不仅是交流,为了生存不可缺少的各种物质在生物之间频繁地进行着交流。生物们,超越个体,超越物种,与周围的其他生物,用看不见的网络复杂地连接着生活着。
生命不是以个体存在的。很多生物都是由自己以外的周围的生物支撑的。
思考达尔文以来的生物学常识“进化论”。这是在严酷的生存竞争中,有利的东西生存下来,留下子孙的“进化规则”。但最新的研究表明,还有隐藏的规则在深处。
虽然很多人觉得,归根结底,这个世界是竞争,弱者无法生存。但实际上并不是那么简单(达尔文原本认为的“生存竞争”具有更广泛的意义,并不是单纯的“弱肉强食”的意思)。

実際、個々の生き物同士は、奪い合ったり競い合ったりして生きているばかりではない。競争は、エネルギーを多く消費してしまう。また、自分だけが良ければいいという、周りを排除するような生き方は、むしろ生き残れる確率が低くなる。
競争するよりも助け合ったほうが、命をつなぐことができる。だからこそ、つながり合い、助け合う関係性が地球上にはあふれている。もちろん彼らには、“助ける”というような考えも目的もない。しかし、結果として、今の地球にはそうした周囲との“支え合いのルール”が横たわっていることが見えてきた。
生き物同士がつながり、助け合うように生きる、見えないネットワーク。その一端を私たちは、まだ分かり始めたばかりだ。

实际上,各个生物之间不仅是互相争夺、互相竞争而生存的。竞争会消耗很多能量。加上如果只有自己过得好就好,排除周围人的生活方式反而会降低生存的概率。
与其竞争,不如互相帮助,才能维系生命。正因为如此,互相联系,互相帮助的关系性在地球上溢出。当然,他们没有“帮助”的想法和目的。但是,从结果来看,就是出现了现在的地球上可以看到的与周围的生物“互相支持的规则”。
生物之间互相联系,互相帮助地生活,这一看不见的网络,我们才刚刚开始明白。