2018年8月19日公開「騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる」冒頭で述べたように、「マスコミが騒ぐ新技術のほとんどは眉唾である」と言ってよいだろう。
例えば、電気自動車の最大の弱点は「電池」にある。その(現状のリチウムイオン)電池の弱点を克服できると騒がれた「全固体電池」は、いまだに「自動車の電池」として画期的なものとは言えない状態だ。

正如2018年8月19日公开的“别被骗了,空前的电动车潮流最终会落空”中开头所说的,可以认为媒体所炒作的新技术基本都靠不住。
比如,电动车最大的弱点是电池。被炒作说已经克服电池弱点的“全固体电池”,现在作为“电动车的电池”并非是达到了划时代的境地。

もちろん、現状のリチウムイオン電池の「発火しやすさ」は、電動バスの発火映像がニュースになるなど、珍しいことではない。リチウムイオン電池では、電解液に有機溶剤系の材料を使用しており、 そのため、液漏れ、発火・破裂などが生じやすいのだ。 それに対し、全固体電池では固体電解質を使用するために、発火などの危険性が小さくなると考えられている。

当然现在的锂电池容易自燃的特点众所周知,电动巴士自燃的视频成为新闻已经不新鲜。锂电池中的电解液使用了有机溶剂的材料,因此很容易发生漏液和自燃·破裂等问题。与之相比,全固体电池使用固体的电解质,所以自燃的危险性变小了。

だが、充電時間・容量などガソリン車に比べて著しく不便な部分が劇的に改善されているわけではない。
そもそも、リチウムイオン電池を最初に実用化したのがソニーだということが象徴的なのである。リチウムイオン電池は元々携帯電話やノートパソコンなど「電力消費量の少ない」製品向けに開発された。

不过,充电时间·容量比汽油车明显不便的部分并没有得到戏剧性的改善。
本来锂电池最初进行实用化的就是索尼,这是很有象征性的。锂电池本来是面向手机和笔记本电脑这样“电力消耗少”的产品开发的。

それを携帯やノートパソコンよりも巨大で電気を爆食いする自動車に応用することが「難関」といえる。
例えば、読者は自分のスマホをどのくらいの頻度で充電するであろうか? 毎日という読者も少なくないはずだ。毎日何時間もかけて充電しても、使えるのは概ね1日程度だ。1ヵ月あるいは1年くらい充電不用という製品が発売されれば大人気になるだろうが、その兆しはない。チャレンジが行われていないはずがないが、現在の技術では難しいということだ。

将其应用到比手机和笔记本电脑耗电超出很多的汽车上是非常困难的。
想象吧,读者你们自己是以多大频率对手机进行充电的?每天都充电的读者应该不少。每天花几个小时充电,但是能够使用的时间也就是一天左右。一个月或者一年都不用充电的产品要是发售了,那肯定是很受欢迎的,不过并没有这样的征兆。虽然并非没有人去挑战,但是靠现有的技术是非常困难的。

本来の得意分野である「小型製品向け」でさえ実現できない「充電時間・容量の劇的改善」が、「大型製品」でできると考える人々が多いのは不思議な現象である。
我々は、「科学」とは無縁なメディアが垂れ流す情報に踊らされるべきではない。

在本来擅长的小型产品的领域都没有实现充电时间·容量的大幅改良,但是很多人却认为大型产品就能够实现,这真是不可思议的现象。
我们不能被和科学无缘的媒体所传播的情报所摆布。

電気は流れるものだ
根本的なことを言えば、6月11日公開「EV化? DX推進? その先は電力危機が経済・社会をぶっ壊す」3ページ目で述べたように「電気を溜めるのは非合理だ、『流れるもの』だ」ということである。

电流是流转的东西
从根本上而言,正如6月11日发布的“电动车化?DX推进?这之前电力危机将会毁灭经济·社会”的第三页所言,储存电力是非常不合理的,因为电力是流转的东西。

自然界でも「帯電」などの形で電気が瞬間的に滞留することはあるが、基本的に電気は流れている。
だから、「電気を電気のまま貯蔵する電池」には「自然界の制約」が加わる。それに対してエネルギーをガソリン(化石燃料)の形で貯蔵・運搬し「必要な時に発電して電気を流す」ハイブリッドは、この電気の貯蔵における「自然界の制約」を受けない。

自然界中通过带电的方式电力会瞬间停留,但是基本上电力都是一直在流转的。
所以储存电力的电池就会收到自然界的制约。与之相对,将燃料通过汽油的形式储存·运输,在必要的时候发电通电的混合动力汽车,不受电力储存的自然界限制。

トヨタが「ハイブリッド」を開発し大成功したのは、利用者の利便性を重視したのと同時に「自然界の制約」を十分承知していたからだ。
西洋科学は本来、「太陽が地球の周りをまわっている」=「天動説」を暴力(宗教裁判による拷問や火あぶり)で強制するカトリック教会に対抗するために生まれたと言ってよい。ガリレオ・ガリレイの言葉として有名な「それでも地球は回っている」がその象徴だ。

丰田在混合动力汽车的开发上大获成功是因为重视使用者的便利体验的同时还非常了解自然界的制约。
西洋科学本来就可以说是为了通过暴力让大家认同太阳绕找地球转的天动说的天主教会对抗才诞生的。伽利略的那句“即便如此地球还是绕着太阳转的”是非常具有象征性的。

しかし、それから数百年が経過した現在では、「科学」が「宗教」に取り込まれているように思える。8月22日公開「脱炭素・EV推進、『合理的な科学的根拠がない』この方針は、もはや『宗教』だ」で述べたような、科学の仮面をかぶった「脱炭素教」が「明確な科学的根拠無し」に世界中に広がり「政治経済の一大勢力」になっていることには恐怖さえ感じる。

不过过了几百年后的现在,科学已经被宗教所吸收了。8月22日公开的“脱碳化·电动车推进,没有合理的科学根据”中,就说明其中的方针已经是宗教领域了。披着科学假面的脱碳化宗教传播者缺乏明确科学根据的内容,成为政治经济中的一大势力,这让我甚至感到恐怖。

今回は、さすがに宗教裁判のような惨劇は無いと信じたいが、11月5日公開「エネルギー価格高騰、脱炭素・EV化を推進する国家・企業は総崩れか」で述べたように、「地球市民」は「脱炭素の強制によって跳ね上がった電気・ガス料金を支払わされる」という被害をすでに受けている。

这次虽然我觉得不会有过去那种宗教审判一般的惨剧了,但是正如11月5日公开的“能源价格高涨,推进脱碳化·电动车化的国家·企业会都崩溃的”中所言,地球公民正遭受着损害,不得不支付因为强制脱碳化带来的高电费·高油费。

実験室の中で成功しても大して意味がない
「科学的妄想」がはびこるのは、「理論と実践」が区別されずに混同されているからだ。
例えば、量子論の世界では、「大原浩(量子)が六本木にいる確率と渋谷にいる確率はそれぞれ50%であり、どちらにいるかは実際に会ってみるまではわからない」という考え方がごく普通だ。だから、「科学的妄想」でいえば、「量子でできている大原浩を『六本木と渋谷にそれぞれ50%の確率で存在させることは可能になるはずだ』」ということになる。

就算在实验室中成功也没有什么大的意义
科学妄想的蔓延是因为理论和实践没有被很好区别,而混同在一起的缘故。比如在量子理论得到世界中,“大原浩在六本木的概率和在涩谷的概率都是50%,不具体去看看就不知道会在哪里”这种想法是很普通。所以,按照科学的妄想来说,“让量子水平的大原浩在六本木和涩谷分别有50%概率存在的可能性是有的”。

だが、SF小説としては面白いこの発想は現実にはあり得ない。なぜかと言えば、「量子状態」というのは、「コヒーレンス」を維持しなければ現れない。しかし、人間の体を構成している無数の量子は常にぶつかり合って「デコヒーレンス」となり、結局通常の我々になじみがある「普通の物質のようにふるまう」からだ。

不过作为科幻小说这个想法很有趣,但是现实确实不可能的。要说为什么,因为量子状态不维持相干性就不会出现。而构成人类身体的无数量子不断碰撞退相干,结果才会成为我们所熟悉的普通物质。

量子コンピュータについては、2019年10月25日公開「それでも量子コンピュータが本当に役に立つか疑わしいこれだけの理由」で詳しく述べたが、「いまにも実用化!」という勢いで喧伝していたオールドメディアは、今は素知らぬ顔をしている。

关于量子计算机,正如在2019年10月25日公开的“量子计算机真的有用吗?让人不得不怀疑的一些理由”中所言,那些宣传似乎现在就能实用化的老媒体,现在却一副于己无关的样子。
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実は、「量子コンピュータ」として広められている前述記事2ページ目の写真のような大型の装置は「量子コンピュータの冷却装置」であり、「量子コンピュータ本体」は、指先に乗るほどの小さなチップなのだ。

实际作为量子计算机所被之前文章第二页刊登的照片上的大型装置是量子计算机得到冷却装置而已,量子计算机的本体只是比指尖还小的芯片。

なぜ、大型の冷却装置が必要なのか? 極めて簡略に説明すれば、前述のように量子同士がぶつかれば「コヒーレンス」が「デコヒーレンス」になってしまうので、絶対零度(摂氏温度の零下273.15℃)近辺まで冷やして、量子の動きを鈍らせるためである。
かつて株式市場で「常温超電導」がもてはやされたことがあった。絶対零度付近では電気抵抗がほぼゼロになり送電効率が高まるのだが、それを「常温でも実現できる」という話である。

那么为什么需要大型冷却装置呢?简单来说,正如前文所说,量子之间碰撞的话,就会发生退相干现象,所以需要冷却到绝对零度附近,让量子的动作变得迟钝。
过去股市上常温超导非常受欢迎。将温度降低到绝对零度附近的话,电阻就会基本归零,输电效率非常高。不过要想常温就实现可不是那么容易。

そして、そのブームから数十年経過した2020年に、「米国ロチェスター大学の研究チームが、世界初となる室温領域での超電導実現を報告」したと騒がれた。だが、15℃で超電導の性質を示した(実験の結果が正しいとして……)と言っても、260万気圧というとんでもない環境(我々は1気圧の地表に住んでいる)での話である。

于是这个潮流经过了数十年到了2020年,美国罗切斯特大学的研究团队报告说世界上第一次在室温实现了超导,然后引起一片喧哗。不过虽说是15℃实现了超导现象,但是却需要260万个大气压力的环境。

超電導や量子コンピュータなど「特殊環境」では、興味深い物理現象を数多く見ることができる。しかし、実用化のためには、それらを工場などの常温・常圧下で実現しなければならない。少なくとも、「特殊環境」を維持するコストを劇的に安くしなければならないのだ。

超导和量子计算机等特殊环境中可以看到很多有趣的物理现象。不过,为了实用化,就需要在工厂中的常温·常压下实现。至少维持特殊环境的成本能变得非常便宜才行。

太陽エネルギーを草の形で馬に伝える
そして、そのトヨタ(中央研究所)が人工光合成研究の先頭を走っているのは興味深い(詳しくは「実用サイズの人工光合成で植物の太陽光変換効率を超える」や「人工光合成実用サイズ化を実現させた異分野融合」)を参照いただきたい)。
太陽光からギ酸へのエネルギー変換効率7.2%を実現したのだが、ポイントはギ酸は有機物であり、化石燃料のように使える可能性があることである。すでに述べたように、我々が電気を利用する際の問題は「蓄電」であるが、ギ酸をガソリンを始めとする化石燃料と同等に使えるのならその問題は発生しない。太陽光発電とは決定的に異なるということだ。

将太阳能通过草的行为传给马
丰田中央研究所引领人工光合作用的研究也很让人感兴趣。
太阳光到磷酸的能源转换效率虽然达到了7.2%,但是关键在于磷酸是有机物,可以作为化石燃料来使用。正如我前文所言,我们利用电力时面临的问题是蓄电,如果是磷酸和汽油或者同样能使用的化石燃料的话,就不会面临这个问题。这和太阳能发电有着决定性的差异。

もちろん、人工光合成も昔から騒がれながら実現しない「夢の技術」の一つであることは否定できない。しかし、他の技術と一線を画すのは、自然界の「常温」環境ですでに成功している事例が無数にあるということだ。もちろん、植物の光合成である。
植物の太陽光からの変換効率は0.3%から大きくても3%ほどとされ決して高くはないが、人間を含む地球上のほぼすべての生命(動物も植物を食べることによって、光合成のエネルギーを借用している)を、「自然環境を破壊せずに」維持することが可能だ。

当然,也不能否定人工光合作用也是过去就在炒作的还没能够实现的梦想中的技术之一。不过这和其它技术不一样的是,这已经在自然界的常温环境下有着无数成功案例的事实。当然,这就是植物的光合作用。
植物的太阳能转化率只有0.3%,多了也不过3%,绝对不是很高的数字,但是这几乎可以让包含人类在内的地球上几乎所有的生命不用破坏环境就能够维持生存。

例えば、人類史を何度も塗り替えてきた動力である馬は、草を食べて動く「草力機関」である。そしてその草はもちろん光合成でエネルギーを太陽から得ている。
さらに言えば、石油は通説に従えば古代の生物遺骸が地下に堆積したものだ。また、石炭は明らかに太古に光合成をおこなっていた木のエネルギーが変換されたものだ。

比如,人类历史上不断被重复开发的动力马匹就是靠吃草活动的“草力机器”。然后这些草当然也是从光合作用中获得太阳的能源的。
再继续说的话,石油按照一般说法也是古代生物遗骸在地下堆积而成的。同时,煤炭明显是太古进行光合作用树木的能源转变而来的。