「なぜスマホのバッテリーは交換できないの?」 その理由と問題の本質を考える

“为什么手机不能换电池?”思考其理由和问题的本质
原创翻译:龙腾网 http://www.ltaaa.cn 转载请注明出处


現在のスマートフォンは、ほとんどがバッテリー内蔵で、交換することができない。先日、「交換できないのは問題だ」とする記事がSNSでバズっていた。メーカーがスマホを買い替えさせるために交換できないようにしているのだ……という論調である。
携帯電話やスマートフォンをずっと取材し、製造についても知っている立場からすると、それはかなり強引すぎる話かな、と思う。
バッテリー交換式でなくなっていったのにはそれなりの理由がある。一方で、製品とバッテリー交換に課題がないわけでもない。
それらがどういう関係にあるのか、改めてまとめてみたい。

现在的智能手机大部分都是内置电池,不能更换。前几天,SNS上出现了“不能交换是个问题”的报道。还说这是因为制造商为了让顾客换手机而无法更换电池……这样的论调。
我一直在做手机的相关素材,从制造的立场来看,我觉得这是相当强行的事情。
电池交换式的手机消失也是有其相应的理由的。另一方面,产品和电池交换也不是没有问题。
我想重新总结一下那些之间有什么关系。

バッテリー技術の進化が「内蔵式」を生み出した

电池技术的进化产生了“内置式”

その昔、デジタル機器の多くは充電池を採用しつつも「バッテリー交換」ができた。それが、スマートフォンからPCまで、バッテリー交換できない形に変わってからもう10年以上が経過している。
なぜ交換できなくなったのか? そこには複数の理由がある。
もっとも大きいのは、「バッテリーの形が変わったこと」にある。
現在のデジタル機器で使われているのは「リチウムポリマー」と呼ばれる技術だ。1990年代に実用化された「リチウムイオン充電池」と基本原理は同じなのだが、電解質にポリマーを使っているのが違いだ。いわゆるリチウムイオン充電池では電解質が液体で、リチウムポリマーでは準個体、という違いがある。

以前,很多数码机器虽然采用了充电电池,但也能进行“电池交换”。从智能手机到电脑,变成了不能交换电池的形式已经过了10年多了。
为什么不能交换?那里有很多理由。
其中最大的原因是“电池形式发生了变化”。
现在的数码机器使用的是被称为“锂聚合物”的技术。与1990年代实用化的“锂离子电池”的基本原理相同,但电解质中使用聚合物是不同的。所谓的锂离子充电电池电解质是液体,而锂聚合物则是准固体。

今回の話題に関して重要なのは、結果として電池のパッケージが、レトルト食品のような「樹脂のフィルム」に変わったという点だ。要は、われわれが思い描く「電池」の形ではなくなってしまったわけだ。
これによって、電池の特性は大きく変わった。
一番大きいのは、「機器の内部デザインに合わせてぎりぎりまで容量を大きくする」ことが可能になった、という点だ。現在のデジタル機器では、形が決まった規格品もあるものの、ほとんどの機器で、内部設計に合わせた形と大きさのバッテリーパックが使われている。

关于这次的话题,最重要的是,电池的包装变成了像即食食品一样的“树脂胶卷”。总之,已经不是我们想象中的“电池”的形状了。
由此,电池的特性发生了很大的变化。
最大的一点是,可以“根据机器的内部设计最大限度地增大容量”。现在的数码设备中,虽然也有固定形状的规格品,但是大部分的机器都使用符合内部设计的形状和大小的电池包。

iPhone 12のバッテリー交換法紹介からの引用だが、バッテリーが本体サイズの大半を占め、さらにその周囲には空間もほとんどないことが分かるだろう。
結果として、現在の機器は、性能向上と動作時間の維持、そして「小型化・薄型化」を実現した。本体内部を密閉し、防水・防塵(じん)を実現するにも都合がいい。

iPhone12的电池根据图纸显示,电池占据了主机尺寸的大半,而且周围几乎没有空间。
所以现在的设备实现了性能提高和工作时间维持的同事,尽可能的“小型化、薄型化”。密封机身内部,便于防水、防尘。

バッテリー交換式は設計に制約が多い

电池交换式在设计上有很多限制

一方生まれたのが、「バッテリーを取り外せるようにすると制約が多くなる」というジレンマだ。
バッテリー単体で取り外せるようにする場合、電池は液漏れや衝撃による破損が起きないよう、ちゃんと保護する必要がある。電源端子などの安全性保護も必要だ。特に容量が大きくなった今は安全性がより重要である。
ラミネートパッケージでない電池は外装が固いケースで覆われているので、取り外せる電池を作るのも容易だ。だがリチウムポリマーでは、電池外装を別途用意する必要がある。
もちろん、外装はプラスチックなどで作ればいいだけなので、難しい話ではない。事実、デジタルカメラなどで使われている充電池は、ちゃんと外装をつけた安全なパッケージとして供給されている。

另一方面产生了“如果能取下电池的话,制约就会变多”的窘境。
如果要单独取下电池,电池就必须要好好保护,以免因漏液或冲击而损坏。电源端子等的安全性保护也是必要的。特别是容量变大了的现在安全性更重要。
因为不是叠层包装的电池被外包装很硬的盒子覆盖着,所以制作可以取下的电池也很容易。但是,锂聚合物需要另外准备电池外壳。
当然,外表只要用塑料做就可以了,这并不是什么难事。事实上,数码相机等使用的充电电池是作为外包装安全的包装提供的。

だがそれをするということは、外装の分バッテリーが小さくなるということでもある。スペースが減るのはバッテリー側だけではない。本体の側にも「蓋を開けて安全にバッテリーを収納できる」スペースを用意する必要があるので、容量はさらに減る。動作時間と薄型化を両立させつつ、バッテリーを取り外せるようにするのはなかなか難しいのだ。

但是,这样做的话,就意味着包装部分的电池会变小。空间减少的不仅仅是电池方面。主机方面也需要准备“打开盖子安全收纳电池”的空间,容量会进一步减少。很难在兼顾方便快捷和轻薄化的同时,取出电池。

消費者が「バッテリー交換できないスマホ」を選んだ

消费者选择了“无法更换电池的智能手机”

「でも、スマホと違い、カメラなどはバッテリー取り外し式ですよね」と思う人もいそうだ。
だが、そこは動作時間とニーズの違い、という点が大きい。
デジカメは人によって使い方が違う。一日数十枚で済む人もいれば、プロのように1時間で何百枚も撮影する人もいる。大量に撮影する人はそれだけ電力も消費するので、交換バッテリーを持っておいて、すぐに入れ替えて対応できる方が便利だ。
だが、PCやスマホはそうではない。動作時間は長く、だいたい1日はもつ。そして、誰が使ってもそこまでバッテリー動作時間は変わらない。毎日、もしくは数日に一度充電すればいいなら、「移動中にバッテリーを交換する」というニーズはほとんど生まれない。

据说也有人认为“和智能手机不同,照相机等都是能更换电池的”。
但是,其中很大一点是工作时间和需求的不同。
数码相机的使用方法因人而异。有一天几十张就够了的人,也有像专业人士一样一个小时就拍几百张的人。因为大量拍摄的人耗电量也很大,所以带着交换电池,马上更换比较方便。
而电脑和智能手机却并非如此。待机时间长,大概能有一天。并且无论是谁使用,电池的运行时间都不会变。只要每天或几天充一次电就好了,几乎不会产生“移动中更换电池”的需求。

PCでもスマホでも、バッテリー交換式と内蔵式は併存している。今でも業務用スマホの中には、バッテリー交換式をあえて採用するものがある。それは「バッテリーが再充電できるような場所に戻れない」シーンで使うことを想定しているからでもある。あくまでニーズの問題だ。
PCもスマホも、最初から内蔵式ばかりだったわけではない。内蔵式が登場した時には「不便だ」「不安だ」という非難もあったのだ。だが、内蔵式の方がバッテリー動作時間は長くなること、本体が薄く小さくなることなどが評価され、主流は内蔵式になっていった。
別にメーカーのわがままで内蔵式になったのではない。内蔵式の製品を消費者が選んだ結果、「スマホやPCでは内蔵式が一般的になった」のである。

无论是电脑还是智能手机,电池交换式和内置式都并存。现在业务用的智能手机中也有特意采用电池交换式的。那是因为设想了在“有时候电池没办法在需要充电的时候有地方充”的场景中使用。说到底是有没有需要的问题。
电脑和智能手机并不是一开始就只有内嵌式的。当时内嵌式电池登场的时候也有“不方便”“不安”的指责。但是,内置式电池的工作时间变长,机体变薄变小等也大受好评,现在主流都是内置式了。
并不是因为制造商的任性而变成了内置式的。而是消费者选择了内置式产品,所以才造成了“智能手机和PC一般采用内置式”的结果。

「他社製バッテリー」での事故を怖がるメーカー

害怕“其他公司制造的电池”发生事故的制造商

容量の他に、メーカーがバッテリー交換式を嫌がるようになった理由がある。
それが安全性だ。交換式だから安全でない、という話ではない。「社外で製造された粗悪なバッテリーが引き起こす問題」が懸念されるからだ。
バッテリーが膨らんだり、火が出たりして事故につながったという例は少なくない。そしてその一部は、粗悪なバッテリーから発生している。安価な社外品バッテリーの中には、製造時の検品や輸送時の管理の問題から、ショートなどの問題を起こしやすいものがある。バッテリーが大容量化したこともあって、焼損事故も深刻なものとなりやすい。

除了容量以外,还有一个原因导致了制造商讨厌可交换电池。
那就是安全性。并不是说因为换电池的过程不安全,而是因为其他公司制造的劣质电池引起的问题令人担忧。
电池膨胀、起火导致事故的例子不在少数。而且其中一部分是由粗劣的电池产生的。便宜的公司产的电池中,有的存在制造时的检测和运输时的管理问题,有的容易引起短路。由于电池容量大,烧损事故也很容易发生。

メーカー側としては、できるだけ自社製のバッテリーを使ってほしいと考えている。製造工程や組み合わせた時の状況をちゃんと把握できるからだ。だが、交換式だと「非純正バッテリー」を排除するのは難しい。全てがちゃんとしているなら問題はないが、実際にはそうではない。
バッテリー交換式だったフィーチャーフォンの時代には、社外品のバッテリーを使ったことによる焼損事故がいくつかあった。今、そうした事故は、電動工具や掃除機などで深刻化している。モバイルバッテリーでもリコールや事故の話は多い。
スマホのバッテリーが交換式になれば、電動工具や掃除機、モバイルバッテリーで起きていることと同じ問題が発生するのは間違いない。
そんなこともあって、今のメーカーはスマホを「バッテリー交換式にすること」に及び腰、という側面もあるのだ。

制造商方面希望尽量使用自己公司生产的电池。因为可以好好把握制造工序和组合时的状况。但是,交换式的话很难排除“非正规电池”。如果一切都好好做的话就没有问题,但实际上并非如此。
在电池交换式的时代,因使用了其他公司产品的电池而发生了几起烧损事故。现在,这样的事故在电动工具和吸尘器等方面越来越严重。移动电池也有很多关于召回和事故的话题。
如果智能手机的电池是交换式的话,肯定会产生和电动工具、吸尘器、移动电池发生的问题相同的问题。
正因为如此,现在的制造商就不愿意制作电池交换的智能手机。

「満充電じゃないと怖い」常識を捨てよう

扔掉“如果不是满电的话很可怕”的常识吧

問題にはいくつもの側面があるが、筆者は2つのポイントに注目する必要があると思っている。
1つ目は「充電の仕方に問題があるのではないか」ということだ。
バッテリーが減っていると不安になり、できるだけ100%充電されている状態を維持したくなる……という人は意外と多い。自宅やオフィスなどでスマホを使う際、電源をつないで「充電状態のままずっと使う」人も多いだろう。
バッテリーが劣化して本体修理を余儀なくされる理由はここにある。
今のバッテリーは「高熱にさらされる」「満充電に近い状態を長く維持する」ことで劣化しやすい。適度に使って適度に充電するのが最も効率的なのだ。

问题有很多方面,笔者认为有必要关注这两个点。
第一个是“充电的方法有问题”。
电池减少的话会感到不安,想尽量保持100%充电的状态……这样的人意外的多。在家里或办公室等地方使用智能手机的时候,很多人都会接通电源保持“一直在充电状态下使用”吧。
电池老化,不得不修理机器的理由就在这里。
现在的电池由于“暴露于高温”“长时间维持接近满充电的状态”而容易劣化。适度使用适度充电是最有效率的。

しかし、「いつでも100%じゃないと怖い」と思いながら使っていると、バッテリーは設計よりも早く劣化する。本来、1年の使用で使い物にならないくらい充電容量が減ることは考えづらく、そういう場合はまさに「故障」か「充電頻度が適切でないか」のどちらかと考えられる。
現在のスマホやPCの場合には、かなり十分なバッテリーが搭載されているので、あえて充電を8割もしくは9割程度で止める機能を搭載し、バッテリーの劣化を抑えるようになってきた。iPhoneなら「バッテリー充電の最適化」という機能がそれだ。Androidにも「いたわり充電」などの名前で、同様の機能が搭載されている。こうした機能は積極的に使った方がいい。
もちろん、われわれの側にある「満充電でないと不安」という心理をなくしていくことは重要だろう。充電速度も、100%までの充電には時間がかかるものの、85%や90%までなら短時間で充電が終わるようになっている。いつもモバイルバッテリーをつないで持ち歩くようなことはやめて、「ちょこちょこと急速充電」という使い方の方が良い。

但是,一边想着“如果不是满电的话会很可怕”一边使用的话,电池会比设计来得更快劣化。一年的使用后充电容量会减少到不能用的程度,这种事本来是很难想象的,一般这种情况就认为要么是电池“故障”要么就是“充电频率不合适”。
在现在的智能手机和PC上,因为搭载了相当充足的电池,所以特意搭载了8成或9成左右停止就充电的功能,从而抑制了电池的劣化。如果是iPhone和Android都搭载了同样的功能。这样的功能最好积极使用。
当然,重要的是要消除我们这边“不满电就不安”的心理。充电速度也是充到100%需要花费时间,但是到85%和90%的话,短时间内就可以达到了。不要总是把手机一直连着数据线,最好是“一点点快速充电”的使用方法。

「バッテリー修理」を容易にするアプローチも必須

“电池修理”的简单方法也是必须的

もう一つの課題は、メーカー側での対応だ。
バッテリーを交換式にしないのはまあ、事情を考えると分かる。だが、それと「バッテリー交換作業を面倒な形のままにしておく」のはまた別の話だ。交換修理がどこでもできて、短時間で終わるなら、バッテリー交換式にこだわる必要は薄れる。
メーカーはバッテリー交換について、自社認定サービス以外での作業を好んでいない。前述のように、社外で作られた管理できないバッテリーなどが紛れ込んで事故が起きるのを防ぐためだ。
とはいうものの、修理に大きなニーズがあるのも事実。スマホ修理用パーツの流通はすでに、われわれが思う以上に大きな産業になっている。

另一个问题是制造商方面的对策。
不把电池换成交换式的话,考虑上面的原因就知道了。但是,“把电池更换成奇怪的形状”又是另一回事。无论在哪里都可以进行更换修理,如果短时间内能够完成的话,就不用特别拘泥于电池交换式了。
制造商对于电池交换,不喜欢在本公司认定服务以外的地方进行操作。如上所述,这是为了防止在公司外生产的无法管理的电池混入导致事故发生。
虽说如此,修理方面也有很大的需求,这也是事实。智能手机修理零件的流通已经成为想象不到的大产业。

スマホメーカーには、バッテリー交換が簡単になる内部設計と、修理業者の認定および純正パーツ供給を進めていただきたいと思う。
米Appleは2021年の3月に「Independent Repair Providerプログラム」という制度を、日本を含む全世界に拡大した。これはApple傘下でない独立した修理事業者に、純正パーツと修理のためのトレーニングを提供するもの。こうした動きは正しいし、認定事業者が増えて修理が楽になっていくことを期待したい。

希望智能手机厂商能推进电池更换简单的内部设计,以及修理业者的认定以及纯正零部件的供应。
美国苹果公司于2021年3月将“Independent Repair Provider程序”这一制度扩大到包括日本在内的全世界。这是为了向不是苹果旗下的独立修理经营者提供纯正零件和修理的训练。我们期待着这样的行动是正确的,认证的维修店增加了的话修理也会变得轻松。

一方で、前出のiFixitによるバッテリー交換マニュアルを見れば分かるのだが、iPhone 12のバッテリーは「簡単に交換することを前提としていない設計」に見える。バッテリーの固定方法や他のパーツとのレイアウトを多少見直し、交換作業を容易にすることは不可能ではないはず。少なくとも、iPhoneをバッテリー交換式にするよりも、設計難易度はずっと低そうだ。
メーカー側もそうした配慮を進めていくことが、バッテリーに対する不満を解消する、最も重要な要素ではないか、と筆者は考えている。

另一方面,看了前面提到的iFixit的电池更换手册就知道了,iPhone 12的电池看上去是“以简单更换为前提的设计”。只要这样稍微把布局调整得合理一点,修理操作起来变得容易也是有可能的。至少比起把iPhone的电池设计成可交换的,设计难度要低一点。
笔者认为,制造商方面也应该考虑到这一方面,这是消除对电池不满的最重要的因素。