この宇宙の基本的な観測事実として、空のどの方向を見ても、銀河系の外には似たような宇宙が拡がっているというものがある。光速が有限のため、宇宙では遠くを見ることは過去を見ることである。
したがって、遠方の銀河ほど過去の銀河であり、過去にさかのぼるほど、タイムマシンのように銀河の進化を逆にたどることになって、現在の銀河とは性質の異なる銀河が見えてくる。一般的には、形成途上の小さい銀河や、形の不規則な銀河が増える。

这个宇宙有一个基本的观测事实。那就是从天空中任何一个方向望去,银河系以外宇宙各处都是非常相似的。因为光速是有限的,所以观测宇宙的远方和观测过去是一样的。
因此,远方的星系是过去的星系。沿着过去追溯,就像乘坐时间机器反过来看星系的进化一样,就可以观测到和现在的星系性质完全不同的星系。一般来说就意味着正在形成的小星系和形态不规则的星系增加。

また、宇宙の膨張速度も宇宙史の中で一定ではない。そのため、「ほかの銀河が我々の銀河から離れていく速度は、我々からの距離に比例する」というハッブル・ルメートルの法則も、距離と後退速度の関係が単純な比例関係からずれていく。逆にそれを用いて、宇宙の膨張史を知ることができる。
有名な、宇宙の現在の年齢が138億年というのは、この膨張史や、その他のさまざまな観測、そして『爆発する宇宙』で説明している理論的な物理法則を組み合わせてはじき出されたものである。

同时,宇宙的膨胀速度在宇宙史中也并非是一定的。因此,其它星系远离我们的星系的速度和彼此之间距离是成正比的。这个哈勃·勒梅特定律中距离和后退速度的关系并非是单纯的正比关系。反过来应用这个,就可以知道宇宙的膨胀史。
有名的就是认为宇宙现在的年龄为138亿年的说法。这个膨胀史是通过各种各样的观测,以及宇宙大爆炸理论等理论物理理论的结合来解释的。

宇宙誕生後1億年ぐらいから最初の星や銀河ができるといわれている。そして、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡など最先端の大望遠鏡の活躍で、宇宙誕生後、わずか数億年頃の原始銀河が実際に捉えられている。
つまり、宇宙誕生後数億年から138億年まで、宇宙史のほぼすべてにわたる期間での銀河の形成と進化が、人類によってすでに直接観測されているのである。
だが、人類が直接観測している最古の宇宙時代となると、実はこれを遥かにさかのぼる。それは宇宙誕生後38万年という時代である。

宇宙诞生后一亿年左右最初的恒星和星系诞生了。然后,通过昴星团望远镜和哈勃宇宙望远镜等最先进的大型望远镜的活跃,实际上波捉到了宇宙诞生后仅仅数亿年时候原始星系的情况。
也就是说,宇宙在诞生后数亿年到138亿年为止,几乎占据宇宙史全部的时间,人类都能直接观测星系的形成和进化。
不过人类可以直接观测最古老的宇宙时代实际上还能继续往前推,达到了宇宙诞生后38万年的时代。

宇宙が超高温の火の玉で誕生した時に満ちていた光(電磁波)のなれの果てが、今も宇宙を満たしている。宇宙マイクロ波背景放射と呼ばれる電波である。背景放射とは、日中の空が青く光っているように、空全体がぼうっと光っているものをいう。
世の中の物質は膨張すると冷却するという性質があり、宇宙そのものもまた例外ではない。かつての超高温は、現在では絶対温度で2.7K(ケルビン)という超低温になっている。
そして物質はその温度に対応した波長の電磁波を放つ。表面温度6000Kの太陽は我々の目に感じる可視光線を放つが、2.7Kという超低温の物質が放つ電磁波はずっと波長が長く、無線や携帯電話で使われる電波の一種であるマイクロ波になる。

宇宙在超高温的火球中诞生时充斥的光(电磁波)的终焉,现在依然充满着宇宙。这就是被称为宇宙微波背景辐射的电波。背景辐射正如正午天空发出蓝色光一样,点亮这太空全体。
世界上的物质有着膨胀后冷却的性质,宇宙本身也不例外。过去的超高温,现在则变为2.7K这样的超低温。
物质会按照自身的温度放射对应波长的电磁波。表面温度6000K的太阳可以放出我们眼睛能看到的可见光。2.7k的超低温物质放出得到电磁波波长更长,是和无线通信以及手机中使用的微波的一种。

宇宙誕生後38万年というのは、宇宙の温度が3000Kほどに下がって、それまでバラバラだった水素原子核と電子が結合して水素原子となった時期である。それより前は、光は電子によって散乱されてまっすぐに進めなかった。電子が水素原子に束縛されたことで、光はまっすぐに進めるようになる。このときからまっすぐ伝搬して我々に届いているのが、宇宙マイクロ波背景放射である。
そしてこの背景放射の強度は、空のどの方向を見てもまったく同じである。より正確にいえば、わずか10万分の1ほどのゆらぎがあり、それがいずれ銀河や銀河団といった天体を生み出すタネになるのだが、ここではそれは重要ではない。

宇宙诞生38万年后,宇宙的温度降低到了3000K。这个时期,之前还独立维持的氢原子核和电子发生结合成为了氢原子。在这之前,光线因为电子的扰乱,无法笔直前进。从这个时候开始传递到我们现在的就是宇宙微波背景辐射。
这个背景辐射的强度在太空中不管从哪个方向看都是完全一致的。更加正确来说,只有10万分之1的偏差。正是这点扰动产生了星系和星系团这样的天体,不过在这里这点并不重要。

これら膨大な観測データに裏打ちされた確固たる観測事実が意味するところは明らかだ。そう、我々が原理的に観測可能な、半径464億光年の球の中は、どの場所も同じ物理的性質を持っているのだ。どの方向を見ても同じような宇宙が拡がっており、遠くの宇宙が我々の近傍と異なるのは、過去にさかのぼって見えるということだけである。
もちろん、銀河のスケールで見れば、宇宙の性質は場所ごとに異なる。銀河の中には星が密集している一方で、銀河と銀河の間にはごく薄い銀河間ガスしかない。そして数千個もの銀河が集まった銀河団という巨大構造がある一方、ほとんど銀河が見つからないボイドと呼ばれる領域もある。これを宇宙の大規模構造と呼んでいる。

从这些庞大的观测数据中可以证明一个明确的观测事实,我们在原则上可以观测的就是半径464亿光年的球体中,不管哪个地方都有着同样的物理性质。不管从哪个方向来看,宇宙都是一样膨胀的。远处的宇宙和我们身边的宇宙不同仅仅是因为观测的时间差异而已。
当然,以星系尺度来看,宇宙性质根据地方不同不一样。星系中恒星密集,另一方面星系和星系中间却只有非常稀薄的星系尘埃。一方面有着数千星系集中在一起的星系团这样巨大的构造,另一方面也有几乎所有星系都无法发现的真空区域。这被称为宇宙大尺度结构。

だが、銀河団より大きなスケールで宇宙をならしてみると、我々が観測する宇宙は驚くほど、どこまでも同じように拡がっているのである。
これを3次元空間から次元を一つ落として、地球表面の2次元世界でたとえるならば、大海原を航海する船を考えるとよい。船から海を見ると、何の陸地も見えず、細かな波の凹凸を除けば、水平線まで平らな海が延々と拡がっている。宇宙とは、ある意味、恐ろしく単調で退屈なものであるといえるかもしれない。

不过对比比星系更加巨大的宇宙,我们观测的宇宙令人正经不管在哪个方向都在膨胀。
如果从三维空间去掉一个维度,将其比作地球表面这样的二维世界,可以看作在大海上航行的船舶。从船舶上来看海洋,无法看到任何陆地,除了细微的波浪起伏,平坦的海洋一直延伸到水平线。宇宙某种意义上说不定就是如此单调和无聊。

「爆発」から宇宙の膨張を見てみると
それでは、宇宙膨張を『爆発する宇宙』のテーマである爆発という観点から見つめ直してみよう。
我々が一般的に思い描く爆発現象では、まず、爆発を引き起こすエネルギーの発生がある。このエネルギーは時間的に突然発生し、そして空間の中で局所的に、よりわかりやすくいえば一箇所に集中して発生する。発生したエネルギーは爆発中心領域において熱エネルギーなどに転化し、そして熱エネルギーは圧力の源泉となる。この圧力によって中心領域は膨張を始める。

从大爆炸来看宇宙的膨胀
那么就从宇宙大爆炸这个主题中爆炸的视点来重新审视宇宙膨胀吧。
我们一般描绘的爆炸现象中,首先需要有引发爆炸的能量。这个能量是在某个时间突然发生,在空间的局部,简单来说就是集中到一点上爆发的。爆发的能量在爆炸的中心转化为热量,然后热量将会称为压力得到源泉。这个压力将会推动中心领域的膨胀。

膨張するということは、爆発領域の内部のエネルギーが膨張する物質の運動エネルギーに転化するということである。エネルギーは保存しなければならないから、必然的に内部のエネルギーは消費されて低下する。内部のエネルギーは主に熱エネルギーであるから、これは結局、膨張物質の温度が低下することになる。
こうして爆発が起きてしばらくすると、爆発を生み出したエネルギーの大部分が、飛び散る物質の運動エネルギーになる。この飛び散った物質が周囲の物質に衝突したときに、周囲のものを壊したり、今度は逆に運動エネルギーが熱エネルギーに転化したりといったことが起きる。こうして、周囲にいるものはその爆発が起きたことを認識し、それによる影響を被ることになるのである。

膨胀即是爆炸领域内部的能量转化为膨胀物质的运动能量。能量是无法保存的,内能一定会被消耗,然后减少。内能主要是热能,所以最终结果膨胀的物质温度一定会降低。
这样在爆炸爆发一段时间后,爆炸孕育的能量大部分都成为了飞散物质的动能。飞散物质和周围物质发生碰撞的时候,就会破坏周围的东西。这次又会再次将动能转化为热能。然后周围的人们就会认识到爆炸的发生,然后遭受爆炸的影响。

この観点であらためて宇宙の膨張を見てみると、最初のエネルギーの発生による爆発の開始はビッグバン宇宙の誕生であり、その後の宇宙の膨張は、そのエネルギーが運動エネルギーに転化したために物質が飛び散っている状態といえる。
そして最初に与えられたエネルギーが運動エネルギーに転化するために、爆発の中の物質の温度は低下するはずである。宇宙は超高温のビッグバンで誕生したはずなのに、宇宙マイクロ波背景放射の温度が絶対温度で2.7Kという超低温になっているのは、まさにこのためである。

从这个观点再次审视宇宙膨胀的话,最开始能量爆发的开端就是大爆炸宇宙的诞生。之后宇宙的膨胀就是能量转化为动能的结果,可以说是物质飞散的状态。
然后为了让最初的能量可以转化为动能,爆炸中心的物质温度一定是极低的。宇宙明明是超高温的大爆炸中诞生的,但是宇宙微波背景辐射的温度却是绝对零度相近的2.7K的超低温。这正是因为这个原因。

だが、宇宙の膨張が通常の爆発と大きく異なる点がある。普通の爆発は空間のどこか一点で局所的に起きて、その影響が周囲に伝わる。
しかし宇宙の膨張はそうではない。宇宙の膨張は、我々が認識できるかぎりの広い3次元空間において、どの点も同じように膨張しているところにユニークな特徴がある。局所的ではない、いわば大局的・全体的な爆発といえばよいだろうか。これはつまるところ、飛び散っていった爆発物が周囲のものにぶつかって影響を及ぼすといったことが起きないことを意味している。

不过宇宙的膨胀和通常的爆炸有很大的不同点。通常的爆炸是从空间的某一点局部发生的,然后将影响传播到周围。
宇宙的膨胀就不同了。宇宙的膨胀时我们认识的三维空间中任何地方都以同样方式膨胀的。有着这样独特的特征。并非是局部,而可以说是全局·全体的爆炸。这意味着在所有的地方,飞散的爆炸物并不会和周围物质碰撞然后发生影响。

先述したように、この「一様な宇宙」は少なくとも、我々が見通せる464億光年先より遥か遠方まで拡がっていることは確実である。だが、それがどこまで続くのか、無限に拡がっているのか、あるいは極めて大きなスケールで見れば、物質や空間の拡がりに果てがあるのか、それは残念ながら今の科学の知識では答えられない。
もし後者であるならば、ビッグバンで爆発膨張している我々の宇宙が周囲の別の物質にぶつかったりして影響を及ぼすということがあり得るかもしれない。だが、我々がそのような現象を直接目撃することは不可能であろう。

正如前文所述,这个同质化的宇宙无疑比我们可以观测的464亿光年的宇宙扩展到了更远的地方。不过这到底持续到多远,是否是无限延展,或者在极大的尺度上来看,物质和空间是否有边界,这些问题很遗憾现在的科学知识是无法回答的。
如果是后者的话,通过大爆炸的膨胀我们的宇宙撞向其它物质的可能性也是存在的。不过我们是无法直接观察这样的现象的。